□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2018月4月24日303号 ■ ============================================================= なぜ「憲法9条は一字一句変えてはいけない」のか ============================================================= なぜ私は憲法9条を一字一句変えてはいけないと主張するのか。 それは憲法9条を一字でも変えた途端に、まったく別の憲法9条になってしまうからだ。 憲法9条が出来た矛盾した歴史的背景と、その矛盾した歴史的背景から由来する、戦後から今日に至るまで続いた日本の葛藤した政治史のすべてが消えてしまうからだ。 そうしてはならない。 矛盾を直視し、矛盾に苦しむからこそ、二度と過ちを繰り返してはいけないという抑止力が働くのだ。 憲法9条は、その時の一世代が変えてしまうにはあまりにも大きく、重いものがあるのだ。 いうまでもなく、日本は天皇制の維持と引き換えに武装解除の性格を持つ憲法9条を受け入れた。そして同時に武装解除と引き換えに日米安保体制と言う名の日米軍事同盟という密約を受け入れた。 逆に言えば、この矛盾があったからこそ、世界に先だつ理想的な平和憲法を持つことが可能になったのだ。 この史実は決して広く日本国民に共有されていない。 それは、国民の不勉強もあるが、不都合な真実が国民から隠されてきたことにもよる。 そして、いまやあの戦争を知らない世代ばかりになった時、この日本特有の歴史はますます国民から忘れ去られていく。 矛盾した三つのこの国の国体のうち、日米同盟ばかりが圧倒的優位に立つことになる。 どのような文言の改憲となろうとも、憲法9条の改憲とともに日米同盟が最優先の国是となる。 逆なのだ。 憲法9条が最優先の国体とならなければいけないのだ。 そのことを、象徴天皇制の下ではじめて天皇になられた今上天皇が、あのお言葉で国民に問われたのだ。 我々はそれに答えなければいけない。 憲法9条が一字でも変わってしまえば、それらすべてが無かったことになる。 そうさせてはいけないのだ。 憲法9条は矛盾した戦後史の生き証人なのである。 憲法9条論争は終わらせてはいけない。 戦後史は永久に語り継がれなければいけない。 それこそが、日本が二度と戦争をしないための唯一、最善の方策なのである。 はたして古賀誠氏はそれに気づいているだろうか(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)