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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

 笑止千万な産経新聞の日韓首脳会談に関する作文記事
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2018月2月13日第128号 ■   ==============================================================      笑止千万な産経新聞の日韓首脳会談に関する作文記事  =============================================================  きょう2月13日の産経新聞が「田北真樹子、阿比留瑠比記者の署名入り記事で、「平昌五輪 政治の祭典の舞台裏」という特集記事を大きく掲載していた。  少し長くなるが、あまりにも笑止千万な記事であったので、その要旨を以下に引用したい。  いわく、9日夕、文在寅との首脳会談を終えた安倍に会いに来たペンスに対し、「平昌五輪を北朝鮮に利用させないようにすることが大事だ、しっかりと韓国に対応させるべく連携しましょう」と安倍が言ったらペンスは深くうなずいたと。  いわく、文在寅のレセプションに向かう準備をしていた安倍のもとに再びペンスから「もう少し話をしたいから、こちらの車で一緒に会場に行きませんか」と誘いがあり、安倍は通訳と共にペンスの車に乗ってレセプション会場に乗り込んだが、既に文在寅のスピーチが始まっていたので、安倍とペンスは会場に入るのやめ、別室でスピーチが終るのを待ったと。  遅刻は予定通りだった。スピーチ前に撮影される集合写真に金永南らと一緒に写りたくなかったからだと。  安倍とペンスはスピーチを終えた文在寅を別室に招き、日米韓の3人だけで写真を撮影した。3カ国の連携を絵に残る形で打ち出したいという米側の意向の表れだったと。  いわく、ペンスはレセプション会場で数人と言葉を交わした後、5分ほどで会場を立ち去った。金永南が座るテーブルにはペンスの席も用意されていたが、ペンスは最初から北朝鮮を無視する腹積もりで、着席する考えはさらさらなかったと。  一方、安倍とペンスは開会式までの間に2時間も一緒に過ごし、韓国や北朝鮮に対し日米の緊密さを見せつけたと。  平昌五輪を機に、安倍―トランプ関係に加え、安倍ーペンス間にも太いパイプが築かれる事になった意義は大きい。安倍が国内の反発覚悟で訪韓した最も大きな成果かもしれないと。  いわく、露骨な南北融和路線に冷や水を浴びせたのが、安倍とペンスだったと。二人は五輪開会式でも隣に座り、2時間以上にわたり会話を続けたと。  ペンスは安倍との会談内容についてトランプに逐一報告していたという。ペンスを介してトランプと対話していたようなもので、実態は安倍、トランプ、ペインの3者会談に近かったと。  (安倍・ペンス会談とは逆に)9日の日韓首脳会談は首脳間の絆を一切感じられない内容だったと。  安倍は冒頭の写真撮影からほとんど笑みを見せず、穏やかな口調ながらも、その一言一言は怒気をはらんでいたと。  日米が描くシナリオは制裁・圧力で北朝鮮を徹底的に追い込み、核・ミサイル開発方針を転換するなら「ご褒美」として対話にも応じるというものなのだが、文在寅のシナリオは正反対であると。  だから、安倍は米韓合同軍事演習を延期すべきでないと述べたと。  日韓合意についても、安倍はたたみかけるようにこう言ったと。  「取るもの(10億円)は取っておいて実行できないというのはあり得ない」と。  「(日韓合意には)日本にも国民から強い反発、批判があった。しかし、あえてここで決断しないと日韓関係は、前に行けないと考え合意に応じた。あなたも国民の高い支持があるんだから決断しなければならない」と。  文在寅の顔から愛想笑いが消えたと。  最後まで議論がかみ合う事はなかったと。  文在寅も、「国家間の合意」の重さが見に染みたのではないかと。  今回の訪韓にはもう一つの狙いがあった。それは北朝鮮に拉致問題の解決を迫る事だったと。  好機は9日夜のレセプションの最後にやって来たと。  来賓が席を立ち始めた時、タイミングを見計らって、安倍ら日本政府関係者が金永南を一気に取り囲んだと。  秘書官の一人が周到に安倍用の椅子を用意し、安倍は金永南の隣に座って、こう訴えたと。  「すべての拉致被害者を返してもらいたい」と。  時間にして10分未満であり、金永南の対応は一切明らかにされていないが、拉致問題解決に向けた安倍の強い意思は十分に伝わったと。  金正恩の元にも届くのではないかと。  以上が産経新聞の記事の概要である。  一切の検証をすることなく、安倍のオトモダチである産経新聞の読者ように書かれた作文をそのまま記事にしたものだ。  そして、もしこれが本当の舞台裏であれば、これほど無礼で稚拙な外交はない。  米国が無礼で外交ベタであるのは今更言うまでもない。  しかし、日本がここまで米国の真似をするようではお終いだ。  文大統領が、我々の主権の問題に口を挟むなと、異例の反論をしたのは当然だ。  そんな事を言われた安倍首相は、世界に日本外交の恥をさらした。  噴飯物である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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