□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2018月1月31日第96号 ■ ============================================================== 韓国側に理がある「最終的かつ不可逆的合意」の本当の意味 ============================================================= きのう1月30日の日経新聞が、文大統領の慰安婦合意見直し宣言で悪化した日韓関係改善の処方箋はあるか、というテーマで、日本と韓国の識者の意見を並べて書いていた。 その内容を紹介するのがこのメルマガの目的ではない。 私がここで一人でも多くの日本国民に知らせたいのは、韓日議員連盟会長という肩書の姜昌一氏が語っている、「最終的かつ不可逆的合意」という言葉の、本当の意味である。 姜昌一氏はこう語っている。 「韓国側が当初主張したのは、『最終的かつ不可逆的な反省と謝罪』だ。日本政府は歴史問題について何度も反省する、謝罪すると言っておきながら、政権が変わると継承しなかった・・・」 つまり、日本政府の、政権が変われば、反省と謝罪をしたはずなのにそれを反故にしてきた、その可逆的反省と謝罪に今度こそ終止符を打ち、最終的かつ不可逆的な反省と謝罪にしたいと、韓国側が申し入れていたというのだ。 それが、交渉の過程でいつのまにか韓国側の責任、つまり二度と日本側に反省と謝罪を求めない、という意味にすり変わったというのだ。 実はこの事は、韓国外務省の作業部会の報告書が発表された時に、一部の新聞が小さく報じ、それを見つけた私はメルマガでも書いた。 しかし、その後誰もこの事を指摘することなく、ほとんどの国民は知らないままに、日韓関係は管理不能になったなどという激しい言葉で韓国批判が続いている。 ましてや国民は、韓国外務省の作業部会報告書があの時明らかにした、日韓合意の裏には密約があった、という事とその内容を知らないに違いない。 朴槿恵大統領は、当初の韓国側の主張を取り下げ、譲歩したのか。 したとすればどういう取引(見返り)があったのか。 あるいは韓国国民を裏切って日米の圧力に屈したのか。 それとも、朴槿恵大統領は譲歩などしておらず、あれは同床異夢の合意だったのか。 少なくとも、日本国民はなにひとつ知らないままだ。 これでは、日韓双方の国民が和解できるはずがない。 そして、韓国側が言う通り、いくら日本政府が反省や謝罪に合意しても、必ずそれを否定する政権や政治家が現れて韓国の世論を逆なでする限り、真の、「公正で持続的な」日韓関係改善の処方箋はない。 こう考えた時、韓国側が当初に主張した、『最終的かつ不可逆的な反省と謝罪』という意味に理がある事がわかる。 その一方で、安倍政権が主張する、二度と反省と謝罪を求めないという意味での最終的、不可逆的合意は、単なる一方的な安倍政権側の要求の押し付けに過ぎず、そこに理はなく、密約を知った韓国国民が文政権に見直しを求めるのは当然である。 日韓関係改善の処方箋は、あれこれ議論をするのではなく、メディアが日韓交渉の真実を国民に知らせる事だ。 いまからでも遅くない。 日本のメディアは徹底した調査報道をして、あの日韓合意に至るまでの舞台裏を白日の下に明かすべきである。 その上で、両国国民の判断にゆだねるべきだ。 それこそが、日韓関係改善の真の処方箋である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)