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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

韓国に謝罪した明仁天皇をスクープ報道した読売新聞の真意
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2017月12月31日第1018号 ■   ==============================================================     韓国に謝罪した明仁天皇をスクープ報道した読売新聞の真意  ==============================================================  きのう12月30日の読売新聞が一面トップで大スクープを報じた。  天皇陛下が即位した翌年の1990年に韓国の盧泰愚大統領が来日したことがあった。  その時の宮中晩さん会で述べられた天皇陛下のお言葉の作成過程において、天皇陛下みずからの意向が反映されていたことがわかったというのだ。  すなわち、韓国大統領の日本への公式訪問は、1984年の全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領についで二人目だった。  そして全斗煥大統領来日は昭和天皇の時に行われ、宮中晩さん会における天皇陛下の歴史認識に関するお言葉は、「今世紀の一時期において、両国の間に不幸な過去が存したことは誠に遺憾であり、再び繰り返されてはならない」というものであった。  このお言葉が韓国側で「誰の責任か不透明だ」という不満を持って受け止められ、盧泰愚大統領の来日の際には、より踏み込んだ内容を韓国側は求めていた。  しかし日本政府内には慎重な意見があり政治問題化していた。  そんな中で、盧泰愚大統領が来日し、最終的には宮中晩さん会のお言葉で、明仁天皇は、「我が国によってもたらされたこの不幸な時期に、貴国の人々が味わわれた苦しみを思い、私は痛惜の念を禁じ得ません」とより明確な形で日本の責任を表現され、韓国側はこれを高く評価した。  この背景に、「過去の歴史についてきちんと気持ちを伝えたい」という天皇陛下の意向が宮内庁を通じて、当時の海部自民党政権に伝わり、政府がそれを受け入れて最終案が決まったというのだ。  この事を、読売新聞は、当時の海部首相や官房副長官として調整に当たった石原信雄氏に取材して一面トップで大スクープ記事にしている。  これは極めて貴重なスクープ記事だ。  即位されたばかりの天皇陛下が、その歴史認識において、いかに過去の反省を痛感されているかを証明する記事だ。  またひとつ、憲法9条遵守を重視する天皇陛下の決意が証明されたということだ。  私が意外に思ったのは、安倍首相の広報誌である読売新聞が、安倍首相にとって不都合とも思えるこのような記事を、なぜこのタイミングで一面トップにスクープ報道したかである。  憲法違反の政治関与を、天皇陛下みずからおかしているという批判のつもりなのか。  そう批判することによって、退位までの間、平和憲法や歴史認識でこれ以上意思表示をするなというメッセージを安倍首相に代わって宮内庁に伝えようとしたのか。  それとも、象徴天皇として全身全霊を打ち込んでこられた天皇陛下に素直に尊崇の念を抱き、安倍政権として退位前の天皇陛下の訪韓を実現させなければいけないと、安倍首相にメッセージを送ったのか。  慰安婦問題で日韓関係が最悪になろうとしている中で、このようなスクープ報道をした読売新聞の真意を知りたい(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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