□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2017月12月14日第972号 ■ ============================================================== これでも政治が動かなければ米軍基地問題の解決は絶望的だ ============================================================== 米軍ヘリからの落下物事故が立て続けに沖縄で起きた。 7日に幼稚園に円筒状の物体が落下したと思ったら、今度は小学校に窓の落下だ。 犠牲者が出なかったから見過ごせるというものではない。 園児や小学生に犠牲が出てからでは遅いのだ。 私が不思議に思うのは、政治がまったく反応を示さないことだ。 またもや、ひとり沖縄の翁長知事が日米両政府に訴えているだけだ。 しかもその訴えは、あきらめにも似た悲鳴に聞こえる。 なぜこの国の政治は動こうとしないのか。 この問題は、単に沖縄だけの問題ではない。 米軍基地は全国にあり、米軍機は全国の上空を我が物顔に飛び回っている。 実際のところ、落下物事故は首都圏でも起きている。 在日米軍の在り方を根本的に見直すしか、解決策はない。 そして、それは、沖縄県知事と日本政府だけに任せて出来る事ではない。 政治の総力をかけて取り組まなければならない、戦後日本の最大の政治問題である。 それにもかかわらず、政治がまるで動かない。 それを私は先の衆院選で立候補した時、肌で感じた。 衆院選が始まった翌日の10月11日に、沖縄で米軍ヘリが民有地に墜落した。 これはいわば天が与えた試練だ。 見えざる力が働いてこの国の政治を試したのだ。 それにもかかわらず、誰一人として動こうとせず選挙活動に明け暮れた。 この国の政治は終わっている。 与党は、その都度米政府に抗議と改善要求をくり返す振りをして、日米地協定の改正ひとつする気はない。 野党はその都度、政権批判を繰り返すだけで、何ひとつ政策を変えることは出来ない。 選挙でひとつでも議席を増やすことのほうが重要だといわんばかりだ。 与党がこれ以上議席を増やしてどうする。 野党がわずかばかり議席を増やしたところで何の意味がある。 そんな与野党のなれあい政治を追及するメディアは皆無だ。 私の脳裏に、いま鮮やかに、イラク攻撃の時の国防長官であったラムズフェルドの言葉がが甦ってくる。 2003年に初めて沖縄を訪れたラムズフェルド国防長官は、「普天間基地は世界一危険だ」と驚いた。 あの言葉だ。 もしあの時、日本の政治がラムズフェルドの言葉に打てば響く対応をしてれば、沖縄問題も在日米軍基地問題も、異なるものになっていただろう。 しかし、イラク攻撃を支持した反省をしなかった政府とそれを許した野党と同様に、この国の政治の不作為が、いまや日本から憲法9条を捨て去る国に追いやってしまった。 かくなる上は、北朝鮮有事ですべてを破壊するしかない。 そう思えるほどの日本の政治の絶望ぶりだ。 ただの一人も、期待できる政治家はいない。 もし今度の米軍ヘリの窓落下事故で、この国の政治がなにも動かないのなら、そう断言するほかはない。 それほどの事故である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)