□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2017月11月17日第899号 ■ ============================================================== 日本はバルフォア宣言を支持したと反論したイスラエル ============================================================== きょう11月17日の毎日新聞「金言」というコラムで、西川恵客員編集委員が貴重な情報を教えてくれた。 元駐イタリア大使の英正道(はなぶさまさみち)氏が、みずからが駐ニューヨーク総領事時代であった1980年代のエピソードとして、のように西川氏に語ったというのだ。 すなわち、ニューヨークのユダヤ人団体と時折意見交換の場を持っていた英総領事は、ある会合で「日本は中東問題では手を汚していない」と言って、中東地域を植民地にしたことも、イスラエル、パレスチナの一方だけを肩入れしたこともないと伝えたところ、「日本政府はバルフォア宣言を支持しています」とやんわり反論されたというのだ。 いうまでもなく、バルフォア宣言とは1917年に当時のバルフォア英国外相が、一方においてユダヤ人にパレスチナの地に民族的故郷を建設できるよう最大限の努力を払うと提案し、他方において、パレスチナ人には国家独立を約束をしたという、悪名高い二枚舌外交の宣言の事である。 今日の中東紛争の原因を作ったとされる。 そのバルフォア宣言から今年11月2日で100年目になる。 英正道大使はもとより、おそらくそのことを知っている外務省の職員はいないに違いない。 なにしろ1917年の話だ。 バルフォア宣言が出た当時はユダヤ人団体の国際組織はいまほど大きくなく、上海にあったそのユダヤ人組織に日本政府がバルフォア宣言を支持すると正式表明したというのだ。 当時は日本は日英同盟を結んでいて、そのよしみでバルフォア宣言を支持したのだろう。 決してイスラエルに積極的に肩入れしたわけではないだろう。 こんな史実を持ち出し、日本は立派にイスラエルの味方ですと、すかさず英正総領事に反論してくるユダヤ人の情報力と外交力には、驚嘆するほかはない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)