□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2017年8月21日第672号 ■ ============================================================== 外務省に悪夢をよみがえらせる本が出版された ============================================================== 2001年に発覚した外務省機密事件は、その正体が国民の知るところになれば、外務省という組織はもとより、日本国を崩壊させかねない一大事件だったが、ひとりの会計責任者の詐欺事件で幕引きされた。 外務省にとっては思い出したくもない事件だ。 ところが、それから16年も経った今、清武英利著の「石つぶて」(講談社)というノンフィクション本の出版でよみがえった。 私はこの本を読んでいないが、その本が外務省にとって、そして事件に関わった者たちにとって、どれほど衝撃的であるかは容易に想像できる。 なにしろ、著者の清武英利氏は、ナベツネに反旗を翻した元読売新聞の幹部だ。 そしてあの事件は読売新聞の大スクープから始まった一大事件だった。 私はこの本をまだ読んでいない。 それにもかかわらず、ここで取り上げようと思ったのは、佐藤優が日刊ゲンダイの書評欄でこの本を絶賛している事を知ったからだ。 彼は本の中に出てくる当時の捜査官の、「本当は松尾ひとりをやるよりも外務省高官をやりたかったができなかった。外務省の局長クラスの捜査をしたことがバレたら官邸や外務省が揺れてしまうから手をつけられなかった」という証言を引用してこう書いている。 「田中真紀子外相が自己の権力基盤を拡大するために機密費詐欺事件を最大限に活用した。外務省は、組織防衛のために鈴木宗男に接近した。この時の外務省と鈴木宗男の関係が国民に不信感を与え、翌02年に鈴木宗男疑惑になり、評者(佐藤優)も逮捕される事になった。機密事詐欺事件がなければ宗男事件も起きなかったであろう」 鈴木宗男事件が起きた背景はそれだけではないが、機密事件が関係していたことは間違いない。 佐藤優にしかできない書評である。 しかし、その佐藤優も知らない機密事件の闇を知っているのが私だ。 清武氏がどこまで真実に迫っているかは知らないが、この本がベストセラーになることはないだろう。 ベストセラーにさせてはならないと考える当時の幹部がいまも活躍しているからだ。 2001年に発覚して、そしてもみ消された外務省機密事件は、加計疑惑どころの話ではないこの国の国家腐敗であったのである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)