□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2017年8月16日第652号 ■ ============================================================== この勝負、まずは金正恩が一本をとった ============================================================== 金正恩が「おろかな米国の出方を待つ」と言ってグアム攻撃停止を宣言したことだ。 危機を煽っておいて、恩着せがましく、止めるという。 止めて当然なのに、止めてくれてありがとう、という気分にさせられる。 まさしく瀬戸際外交だ。 きょう8月16日の産経新聞はこれ見て、金正恩がトランプの脅しに負けたと言わんばかりに書いている。 安倍首相の気持ちを代弁すればそうだろう。 しかし、実際はその逆だ。 きょうの読売新聞で伊豆見元・東京国際大学教授が言っている。 そもそも、北朝鮮にグアムを包囲射撃するつもりなどなかったと。 米国が8月10日にICBM(ミニットマン3)を発射し、その後も戦略爆撃機(B1)を朝鮮半島に飛来させたため、これ以上軍事圧力を高めるなという警告だったと。 それを証拠に、朝鮮中央通信はわざわざミサイルの詳細な飛行ルートまで発表した。これでは米国に迎撃してくれと言っているようなものだ。 つまり「グアム包囲攻撃はやりません」と言っているのだと。 その通りだろう。 そして伊豆見教授はこう続けている。 今回の金正恩の発言を受けて米国は21日からの米韓合同軍事演習にあわせて再び戦略爆撃機(B1)を朝鮮半島に派遣するのかと。 金正恩の瀬戸際外交の投げたボールに今度は米国が追い込まれる番だ。 米国は、そしてとくにトランプは、外交と呼べるものはない。 あるのは軍事力に任せた恫喝外交だけだ。 金正恩に米国の出方を待つと先に言われてしまった以上、これまで通りの軍事的圧力を続けるなら、国際批判は、今度は米国に向かうだろう。 金正恩の瀬戸際外交とトランプの恫喝外交は、とりあえずは、金正恩が一本取った形だ。 それにしても、トランプとの首脳電話会談で、米軍と自衛隊の協力体制強化しか語らず、それを国民の前で当然のごとく語る安倍首相には、外交と呼べるものは何もない。 あるのは対米従属だけである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)