□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2017年7月3日第520号 ■ ============================================================== 文在寅大統領に慰安婦合意の履行を促す安倍外交の誤り ============================================================== 文在寅韓国大統領とトランプ米国大統領の初会談をどう評価すべきか。 大手紙の評価はおおむね、お互いに難題を積み残したままのすれ違いだった、である。 それはその通りなのだが、私の評価は、少し違う。 文在寅大統領の技ありが目立った米韓初首脳会談だったというものだ。 韓国はいまでも米国と一緒になって北朝鮮と戦っている国だ。 その意味で、米国との同盟関係を最優先しなければならない宿命は、日本とは比較にならない。 その韓国の大統領が、韓国国民の反発があるから、今すぐTHAADを配備するわけにはいかないと、トランプ米大統領に伝えたのだ。 北朝鮮に対して強硬一辺倒のトランプ大統領に、「対話の門は開かれている」という文言を共同声明に記す事を飲ませたのだ。 それでいて、「トランプ氏と私の間に深い信頼と友情がつくられた」と共同記者会見で語る事をわすれなかった。 見事な外交だ。 ひるがえって日本の安倍首相はどうか。 韓国と違って米国と対等に立てるはずの日本の首相であるにもかかわらず、トランプ大統領と会う時は、日本の国民生活のことは差し置いて、対米従属一辺倒だ。 その安倍首相が、外遊に逃げ込んで、7月7日にも訪問先のドイツで、文在寅韓国大統領と初首脳会談をするらしい(7月2日共同)。 文在寅大統領との初首脳会談まではいい。 しかし、そこで真っ先に安倍首相が文在寅大統領に伝える事が、「慰安婦合意の履行を促す」という事だという(同上)。 このピント外れぶりはどうだ。 安倍首相が文在寅大統領と真っ先に話すべきことは、文在寅大統領を選んだ新たな韓国との友好関係をどうやって発展させていくかだ。 北朝鮮を含めたアジアの安全保障について、習近平の中国に何を期待すべきか、その事について胸襟を開いて話し合うことだ。 さらに言えば、トランプ大統領と首脳会談したばかりの文在寅大統領と、トランプ大統領をどう評価するか、トランプ大統領の米国との同盟関係をこれからどう進めて行くか、その事を話し合うべきだ。 文在寅大統領もまさしくそれらについて安倍首相と話し合いたいはずだ。 それなのに、慰安婦合意を守れと詰め寄るというのだ。 安倍首相の無能さと外交力のなさに、ただあきれるばかりである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)