□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年7月30日第582号 ■ ============================================================= イラク戦争支持は間違いだったと認めた福田康夫元首相(続) ============================================================= 私は7月14日のメルマガ第546号で書いた。 産経新聞によれば、福田康夫元首相は東京都内で講演し、次のように語ったと。 「(イラク)戦争が始まる寸前に、英国から『早く支持すると発表し てくれ』と言ってきた」と。 その英国は、この前発表されたばかりのイラク戦争独立調査委員会報 告書で、英国の参戦は失敗だったと総括した。 その英国に頼まれてイラク戦争を支持した日本もまた、失敗をおかした ということだと書いた。 だから福田首相もその講演の中で、小泉純一郎首相の当時の判断につ いて、「支持した事は問題がある」と述べざるを得なかった。 この福田元首相の講演発言こそ、イラク戦争の検証から逃げ続けている日本政府に代わって行った我が国のイラク戦争の検証結果にほかならない。 そう私は書いた。 それから半月がたち、きょう7月30日の毎日新聞を見て、その時の講演が、毎日新聞が主催した「アジア調査会新会長就任記念講演会であったことがわかった。 そして毎日新聞は、その時の福田元首相の発言をさらに詳しく書いている。 「日本はアメリカの情報、国連の発表をもとに判断するしかなかった。当然米国に対しても何度も照会した。『正確に言ってくれないと日本は判断できない』と何度も要求した」と。 こりゃダメダ。 米国の情報そのものが間違っていたのだから、その米国の情報に頼るしかない日本が、間違いをおかさないはずがない。 しかし、私が福田元首相の発言でもっとも驚いたのは次の言葉だ。 すなわち福田元首相は講演でこう語っている。 「結果的に支持した事に問題はあったが、日米関係という観点からすると、米国からこんなに信頼を受けた事はない。米国はその後、日本の注文をいろいろ聞いてくれた」 語るに落ちるとはこのことだ。 間違った事をしても、それで日米関係が良くなればいいと言っているのである。 しかも、「米国はその後日本の注文をいろいろ聞いてくれた」というが、何を聞いてくれたというのか。 小泉政権を持ち上げただけで、米国の国益追及に関してはことごとく小泉首相を通じてやりたい放題だったのではなかったか。 おなじくその講演に出席した五百旗頭真(いおきべまこと)神戸大学名誉教授はこう語っている。 「超大国アメリカが本気になってやりたいときに、友人である英国や日本も止められない。では米国と同行するか、行動を異にするか、今後も続く日本外交の問題だ」と。 まだこちらのほうが正直だ。 しかし、そういう五百旗頭真氏は、「それでも米国と同行するしかない」と言い続けてきた御用学者だ。 この五百旗頭氏がアジア調査会の新会長に就任した。 その就任祝いの講演会だったのだ。 福田氏も五百旗頭氏もそしてその講演会を主催した毎日新聞も、すべて厚かましく、開き直っている。 このような人物やメディアが大きな顔をしている日本は、何度でも誤りを繰り返すに違いない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)