□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年2月20日第173号 ■ ========================================================= 本当の売国奴は親米保守という名のこの国の支配層たちである ========================================================= 売国奴という言葉は、歴史を直視した上で中国や韓国との関係改善を求める者たちを左翼と決めつける右翼が決まり文句のように投げかける言葉だ。 私もそういう右翼たちから左翼だ、売国奴だと呼ばれる。 片腹痛いとはこの事だ。 しかし本当の売国奴は、日米同盟を絶対視し、そのために米国との軍事協力を最優先してこの国と国民の生活をないがしろにするいわゆる親米保守というこの国の指導者たちである。 その意味で、安倍首相とそれを取りまくいわゆる右翼的保守たちはまだ害が少ない。 なぜならば彼らはたちまち米国の国益と衝突し、親米保守にとって代わられるからだ。 たまたま今は安倍首相の天下だ。 しかし安倍首相が間違った歴史認識に固執し、戦後レジームのチェンジを行おうとすれば最後は米国との同盟関係を毀損する事になる。 それが今我々の目の前で繰り広げられている。 このままいけばそのうち、日米同盟関係を崩してはならないとする親米保守勢力の手によって軌道修正させられるだろう。 さもなければ最後は辞めさせられて親米保守の指導者にとって代わられる。 しかし安倍首相が変わればよくなるかといえば決してそうではない。 親米保守が、今度は国民から見えない形で、つまり米国との良好な関係の下で、これまで以上に対米従属な政策がすすめられるからである。 繰り返して言う。この国を支配し続けるのは、米国と結託して米国の軍事戦略に協力し続ける親米保守なのだ。 その典型と思える記事を紹介したい。 きのう2月19日の日経新聞に秋田浩之という名の編集委員の記事がある。 「日米同盟の『大手術』」と題するその記事は驚くべき記事である。 すなわち17年ぶりに着手されている「日米防衛協力指針」の改定が極秘裏に行われている事を暴露した上で、日米の当局者がそれを口外しないのは、それが日米同盟の姿を書き直す大手術であるからだという。 そして秋田編集委員は、それは米国のオフショア・バランシングに協力することだという。 すなわち、米国の負担を同盟国に分担させながら中国の軍事的台頭に対応する米国のアジア安全保守政策に協力することだと解説する。 もちろんこの「日米同盟の大手術」は憲法9条の否定である。 公然と憲法9条の否定が進められていると認めているのだ。 この秋田浩之という記者は春原剛(すのはら つよし)記者の後を引き継ぐ日経新聞の日米同盟重視の政治・外交記者だ。 このような記者は大手新聞の政治部記者に共通し、いずれも影響力を持つ。 彼らは、おなじく安保・軍事を優先する親米保守のこの国の政治家、官僚、財界と緊密な関係を保って深く、静かに日米同盟最優先の政策を維持、強化しようとしている。 彼らは安倍首相をはじめとした右翼保守の動きを冷笑しながら、俺たちがいる限り大丈夫だと米国を安心させながら、ひたすら米国との安保・軍事協力関係を最優先してこの国を米国の思うような国に誘導し、支配し続ける。 真の売国者たちだ。 対米自立の平和国家を唱える私にとって最も手ごわい相手である。 この国には彼らに正しく対抗できる政治勢力は過去も現在も現れる事はなかった。 果たして将来にそのような政治勢力があらわれるだろうか。 私にはまだその可能性を見つけることは出来ない(了)。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)