□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年6月15日第459号 ■ ============================================================== わが国の安全保障政策の根幹を揺るがす日米韓合同演習の実態 ============================================================== きょう6月15日の日経新聞に6月21日から始まる日米韓の合同 軍事演習に関する大スクープ記事が掲載されていた。 これはわが国の安全保障政策の根幹を揺るがす記事だ。 すなわちこれまでの日米韓軍事演習は米韓の軍事演習に日本の海上 自衛官がオブザーバー参加する形にとどまっていたが、今回は3カ国の 軍隊・自衛隊が顔を揃えた本格的なものになるという。 その軍事演習は北朝鮮の弾道ミサイル発射や中国の海洋進出を標的に したものであるという。 これは、もはや集団的自衛権発動を前提とした軍事演習であって、 明確な憲法9条違反である。 しかし私が日本の安全保障政策の根幹を揺るがす記事だと書いたのは その事ではない。 集団的自衛権発動の前提条件である信頼関係が韓国と日本の間にない 事が明らかになったからだ。 米国が日米同盟よりも米韓同盟を優先していることが明らかになった からだ。 その日経の記事は要旨次のように書いている。 米国防省の発表(日本時間6月14日)を聞いた防衛省幹部は「どう いうことだ。日本は何も聞かされていない」と動揺を隠せなかったと。 米国の発表に続き韓国も14日に国防省が定例記者会見で発表した のに、日本は14日の藤村修官房長官の記者会見で、「軍事訓練は検討 しているが決定した事実はない」と答えるだけであったと。 その後も日本は共同軍事演習の発表を行なわず、3カ国の連絡の行き 違いについても一切の説明はなかったと。 しかも韓国の広報官は日本と韓国が抱える歴史認識の問題に対する 韓国世論に配慮し、その発表ぶりにおいては、あえて日本が参加する 事に言及しなかったという。 これを要するに共同軍事演習という安全保障政策の根幹に関わる 協力において、信頼関係がないということだ。 とりわけ、日韓間の歴史認識の食い違いが日韓間の軍事関係に影響を 与えているという現実は深刻だ。 このような信頼関係の欠如が、北朝鮮や中国の脅威に対する軍事演習 というわが国の安全保障政策の根幹に関わる問題で表面化したという 事は深刻だ。 日本は軍事政策など考える前に、中国・南北朝鮮関係を正しく構築 する外交に専念すべきだ。 信用できない米国に対する対米従属一辺倒の外交から自立しなければ ならない。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)