□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年6月13日第453号 ■ ============================================================== 中国が北朝鮮に武器輸出を行なった事を止めなかった米国 ============================================================== きょう6月13日の朝日新聞が一面トップで大スクープを掲載した。 その内容は次のとおりだ。 すなわち昨年10月に日本は中国が北朝鮮に対して武器輸出している 証拠をつかみそれを米韓に伝えた。ところが米国は、中国の反発を恐れ これを公表しない事に決めた。その時は中国が北朝鮮の核ミサイル再発射 や核実験を思いとどまらせる交渉を北朝鮮としている時であり、中国の 協力を必要とする米国が譲歩した。結果的に中国の対北朝鮮武器禁輸安保 理決議破りを黙認する事になった。 この大スクープは、日本の外交・安全保障政策の限界と米中関係の欺瞞 を見事に示してくれている。 中国が北朝鮮に武器輸出している、この動かぬ証拠を日本が見つけた。 すなわち日本の大阪港に入港していた中国船を海上保安部の担当者が立ち 入り検査し、輸出目録などの動かぬ証拠を掴んだの。 これは大手柄である。対中外交に対する大きなカードである。 ところがそれをあっさり米国に渡し、すべてを米国に判断を委ねた。 そしてその米国がそれを中国に非公式に伝えたところ中国は輸出の事実は 認めたが民生用だと言い逃れし、米国がそれ以上追及しなかったという。 朝日新聞はこの事を次のように書いている。 「・・・北朝鮮に対する有力な外交手段がない日本は、中国との妥協を 決めた米国に従うしかなかった・・・」と。 しかしこの本質はわが国の対北朝鮮外交ではない。 対中外交であり、なによりも対米外交だ。 日本は中国の脅威のために米国との同盟関係を強化して対応すべきだと 日本政府は唱え、国民はそう思い込まされてきた。 しかし実態は米中がそれぞれの国益のために米中関係を最優先させている といことだ。 日本は現実に米国と中国がどのようなやり取りをしているかを知らされず、 ある時は米国からの、そしてある時は中国からの間接情報に基づいて日本外交 を翻弄されているということだ。 尖閣問題ではあれほど騒ぐ保守、タカ派も、米国が中国と手を結ぶことには 何も言わない。言えない。 米国の判断に黙って従うことしか出来ない外交を非難する者はいない。 果たしてこの朝日のスクープが、いま行われている国会で取り上げられる ことがあるだろうか。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)