□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年11月28日第835号 ■ ============================================================= 「米国がわれわれを必要としているのだ」という気概 ============================================================ とうとう米国とパキスタンの関係が最悪に成りつつある。 パキスタン政府は11月26日、対米国、対NATOとの関係に ついて、「外交や軍事を含むあらゆる協力関係を全面的に見直す」と 発表したという。 直接のきっかけはアフガニスタンに展開する北大西洋条約機構(NA TO)軍のヘリがテロを追撃して26日未明にパキスタン領空に侵入し、 パキスタンの軍事検問所を誤爆したことにある。 しかし、本当の原因は米国がテロとの戦いの名の下に、パキスタン の主権を踏みにじってきたからだ。 今年の5月にパキスタンに隠れていたオサマ・ビン・ラデンを襲撃 した際は、その襲撃をパキスタン政府に知らせないままに行なった。 無断で他人の家に土足のまま入り込んで暴れたのだ。 これまでにも米国とパキスタンとの関係は、米国のパキスタンに対する 主権侵害とそれに対するパキスタン政府の怒りの繰り返しだった。 それがとうとう決定的になったということだ。 しかし、私がこのメルマガで伝えたいことはそのような米・パキスタン 関係の解説ではない。 この誤爆事件に先立つ11月23日の東京新聞「デスクの眼」という コラムで次のようなパキスタン当局者の言葉が紹介されていた。 テロ対策でパキスタンは米国の支援が必要なのでは?と東京新聞の嶋田 昭浩記者がたずねた。 その問いに対してすかさず返ってきた言葉である。 「米国がわれわれを必要としているんだ。われわれが米国を・・・では ない」 米国が介入さえしてこなければパキスタンはイスラム武装勢力との戦闘 で血を流さずにすむのに、といわんばかりだ。 実際のところ米国はテロとの戦いではパキスタンの協力が不可欠だ。 その証拠に、米国務省と国防総省は直ちに声明を発し、NATOの調査 に全面協力を表明し、米・パキスタン関係の重要性を強調した。 クリントン国務長官とパネッタ国防長官は爆撃の犠牲者に哀悼の意を 示した。 「米国がわれわれを必要としているのだ。われわれが米国を必要と しているのではない」 このパキスタン当局者の言葉を発する政治家が日本にひとりでもいた なら、日米同盟関係はもっと健全なものになっていたに違いない。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)