□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2010年11月17日発行第209号 ■ =============================================================== WTO交渉にたち返れと説いた浜矩子(はまのりこ)同志社大学教授 =============================================================== 月刊「中央公論」12月号の「時評2010」という巻頭論説において エコノミストストで同志社大学教授である浜矩子(はまのりこ)氏が TPPを「平成の開国」と叫ぶ菅首相を批判して要旨次のように言って いるのを見つけた。 特定の国の間だけで自由化を進める事が開国なのか。すべての国々が すべての国々のために扉を開く事こそ開国ではないのか。その要の役割を 果たすのがWTO(世界貿易機関)ではなかったのか。なぜこの事を誰も 言わないのか。なぜ日本がこの事を世界に向けて言わないのか。 この言葉を見つけた時の私の喜びは大きいものがあった。 れこそが私が繰り返して書いてきた事だ。 私の言ってきた事を経済学者もまた主張しているのだ。 しかし、経済学者に言われるまでもなく、戦後の国際貿易体制は無差別 自由化の原則の下でWTOの交渉の場で進められてきた。 WTO交渉を通じて世界の貿易自由化を実現することが期待されていた。 日本政府はそのような多角的貿易自由化交渉を重視してきた。 なぜWTO交渉に立ち返れと誰も言わないのか。 あまたいるエコノミストや国際経済学者の中で、それを主張する者がなぜ 浜矩子氏の他に現れてこないのか。 そこに目に見えない何かを感じる。 そこにこの国の救いがたさがある。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)