□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年8月12日発行 第53号 ■ =============================================================== 日航ジャンボ機御巣鷹山事故の真相を考える ================================================================ 1985年の今日(8月12日)は日航ジャンボ123便が御巣鷹山に墜落 した日である。 当時私は毎週のように海外出張をしていて、一日早い同じ便に乗った経験を 持つ。だからこの事故については忘れることが出来ない。 その季節が今年もやって来たこともあり、この事故に関する記事が目につく。 しかしそのすべての記事は鎮魂であり、安全飛行の重要性を訴えるものだ。 事故はつき物とはいえ、ジャンボ機には多くの危機回避装置がついていたはず だ。経験豊富で優秀な複数の操縦士が乗っていたはずだ。 なぜこのような前代未聞の事故が起きたのか。なぜ御巣鷹山に墜落しなければ ならなかったのか。 事故から25年経って、もはやそのような原点に戻った検証を行なう記事は 見られない。 そんな中で、発売中の週刊朝日8月20日号に「米国事故調査官の手記」と いう記事を見つけた。 あの事故は、捜査当局や事故調査委員会が、米ボーイング社の修理ミスに よって後部隔壁が飛行中に破断し、機内の空気が尾部へ流入して垂直尾翼を 破壊し制御不能となったためと認定された。 ところが、週刊朝日のその記事は、同誌が独自に入手した米国人調査官の手記 の中で、その調査官が次のように述べている事を明らかにしている。 「・・・ボーイングの担当者は、隔壁は(修理ミスによるのではなく)墜落時 の衝撃で破壊されたと述べた・・・」、と。 これを読んだ私は「ついに週刊朝日はタブーに踏み込んだか」と一瞬思った。 この日航機事故については、日航関係者や真相究明者の間では、在日米軍 もしくは航空自衛隊の軍事演習中の誤射による垂直尾翼破壊が原因である、 それを日米当局者が隠蔽してきた、という陰謀説が根強く語られている事を私は 知っているからだ。 週刊朝日は今年の1月22日号で、「9・11のWTCビル崩壊は爆破による」 という説を大きく報じ、陰謀説を正面から取り上げた事があったからだ。 しかし、記事を読み進むに従って、この週刊朝日の記事はボーイング社が自ら の修理ミスを認めたくないあまり爆弾テロなどの外部要因説を唱え、その嘘を 調査官が見破った、という記事であった事に気づいた。 その週刊朝日の記事は次のように締めくくっている。 「今回の手記は、メーカーは簡単に(修理ミスによる金属)疲労を認めない こと、航空会社は経済性を優先しがちなことを示唆している。25年前の事故を めぐるボーイングのダッチロールから学ぶべきことは、今なお少なくない」 やはり在日米軍と自衛隊の誤射説は突拍子もないヨタ話なのか。 9・11自作自演説よりも根拠のない筋の悪い陰謀説なのか。 だから9・11陰謀説を取り上げた週刊朝日でさえも、も日航ジャンボ機の 事故については陰謀説など一切取り上げないのか。 それとも、世界が見ていた9・11事件と違って、日航ジャンボ機墜落事故は 日米間に限られた問題だ。 世界の関心はない。日米間で結託すればすべてが隠蔽される。 それをいい事に完全に封印されてしまったのか。 戦争や安全保障に関する事件は真相が曖昧なままやり過ごされる事があまり にも多い。 曖昧なままに忘れ去られてしまう事が多すぎる。 そんな思いを起こさせてくれた週刊朝日の記事であった。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)